尖閣映像流出 保安官が辞職届

2010年12月19日07時17分

 尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突の映像流出事件で、関与を認めている神戸海上保安部(神戸市)の男性海上保安官(43)が辞職届を提出していたことが十八日、捜査関係者などへの取材で分かった。海上保安庁は現時点で辞職届を受理しておらず、年内にも保安官を懲戒処分にする方針。

 国家公務員法に基づく懲戒処分は免職、停職、減給、戒告の順に四段階ある。今回は社会的影響の大きさなどを考慮して、停職以上の厳しい処分が科される見通しだ。免職の場合、退職金は支払われない。

 保安官
は、巡視艇「うらなみ」に勤務していた十一月四日、神戸市のインターネットカフェから中国漁船衝突時の映像を動画サイト「ユーチューブ」に投稿したとされる。

 映像は九月中旬から下旬にかけて四、五日間、海保サーバー内にある海上保安大学校(広島県呉市)の共有フォルダーに保管されており、同僚職員が巡視艇の共用パソコンに保存。保安官は十月中旬、内規に違反して私物USBメモリーで共用パソコンから映像を持ち出したとされる。

 保安官は十一月十日、うらなみの船長に映像流出を打ち明けた後、年次休暇を取り、警視庁などの任意聴取を断続的に受けている。また、乗船勤務を不可とする医師の診断書が提出され、同月二十一付で陸上勤務の予備員に配置換えになった。

 警視庁は国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで今週中にも書類送検する方針。東京地検は海保の処分を受け、年明けにも刑事処分を決めるが、起訴猶予となる公算が大きい。

(東京新聞)